黒松盆栽 仏南部から販売業者 香川県のPRに呼応、高松の産地巡る
フランス南部の盆栽販売業者が、黒松盆栽の買い付けのため高松市の鬼無、国分寺両地区の盆栽園を訪れた。欧州での「BONSAI」人気の高まりを受け、県は仏南部で2023年度からPR事業を展開しており、現地の販売業者が呼応した形。初めて産地を訪れた業者は生産者とも交流を深め、「きめ細かな手入れと個々の盆栽の質の高さに感動した」と納得顔で再会を誓い合った。
松盆栽は鬼無、国分寺両地区で全国の生産量の約8割を占めている。欧州連合(EU)への輸出は従来は五葉松などが主流で、黒松は病害虫の懸念から輸出できなかったが、県などが対策を進めて20年に解禁。EUの検疫要求をクリアした23年1月から本格的な輸出が始まっている。
来県したのは、仏南部ニースの市街地で盆栽センターを経営するジョナサン・ポンス社長ら。一般消費者向けの安価なものから富裕層向けまでの販売・管理を手がけているという。1日には、県職員らの案内で「高松盆栽輸出振興会」(尾路悟会長)に参画する生産者6人の盆栽園を巡った。
あいにくの雨の中、ポンス社長は園主の説明に耳を傾けながら育てられている盆栽を見て回り、「初めて高松に来たが、素晴らしくて言葉を失っている」と称賛。「それぞれの盆栽園に違いがある。来年も楽しみだし、可能な限り頻度高く来たい」と興奮した様子だった。
神戸植物防疫所坂出支所が検疫した23年のEU向け盆栽出荷数は前年から4倍超の4097本。尾路会長は「国内での需要が落ち込む中、経営を成り立たせるためには輸出に活路を見いだすしかない」とし、神高松寿園(鬼無町)の神高恵二園主は「次はスケジュールに余裕を持って来てほしい。末永い付き合いができれば」と期待を寄せた。