黒松盆栽、EU輸出解禁 高松が主産地、消費増期待
高松市で生産が盛んな黒松盆栽の欧州連合(EU)への輸出が10月から解禁された。黒松は松盆栽の中でも生産量が多く、業界関係者は海外での盆栽人気が高まる中、県産の松盆栽の消費拡大につながると期待を寄せている。本格的な輸出は検疫期間を経て2023年春にも始まる見通し。
高松市では鬼無、国分寺地区が松盆栽の産地として知られ、全国シェアの8割を誇る。約60軒の生産農家が黒松、五葉松、錦松の3種類を中心に栽培。うち黒松は約半数を占める。
海外向けの松盆栽は、アジア(台湾、タイ、シンガポールなど)、EU、米国などに輸出。神戸植物防疫所坂出支所が検疫した盆栽の出荷本数は2019年には1万2800本で、5年前の2・1倍に増えている。ただ、輸出できる樹種は防疫面から国・地域別に定められ、EUでは五葉松だけが認められていた。
県は、EUなどへの黒松の輸出解禁を目指し、農研機構中央農業研究センター(茨城県)などと共同で検疫面の課題解消を目指す研究チームを立ち上げ、3月にEUが問題視していた病害虫の対策をまとめた。この取り組みが認められ、EUへの輸出が解禁された。
輸出に向けては、2年間にわたってEUの検疫要求を満たす方法で育て、植物防疫所の検査を受ける必要がある。EU向けの栽培は来春にも始まる見通しで、本格的な輸出開始は早くて23年春になる。
市農林水産課は「黒松盆栽のEUへの輸出は悲願。より多くの農家が携わり、産地の活性化につながれば」と期待。高松市の栽培農家でつくる高松盆栽輸出振興会の小西幸彦会長は「高松の黒松盆栽の輸出量を増やせるよう検疫検査を受ける準備を進めたい」としている。