円熟の技 「目、技、管理」の心得で
香川県高松市国分寺町にある「清寿園」の平松清さん(63)は、香川を代表する盆栽作家である。これまで手掛けた作品は、数々の賞に輝いている。愛好家に適切なアドバイスを送りながら、一緒に名品づくりにいそしむ平松さんに技へのこだわりを聞いた。
培養のポイント
平松さんが盆栽に向かう時に重視する観点がある。いい素材を見つける目、樹の個性を生かす技、そして日々の管理である。
いい樹の条件とされる根張り、幹模様、枝付き、葉状のよさ、古木感などを基準に、この心得で接することが大切と語る。
昨年のアジア太平洋盆栽水石高松大会(ASPAC高松)で、香川県内最高の大会名誉会長賞に輝いた黒松(香川県観音寺市大野原町、矢野勇さん所蔵)も平松さんが折々に手を加えた作品である。
この樹は、2003年のグリーンフェスタ国分寺でも最高賞を受けている。平松さんは「以来8年、根張り、立ち上がりの幹模様、大木感や黒松独特の葉状のよさなど、ますます風格を増している。矢野さんの日々の丹精が素晴らしい」と高く評価している。
針金掛けの魅力
盆栽技術の花形は針金掛けである。円熟の技で知られる平松さんは「針金は難しいが一番やりがいのある仕事。物差しで測ってできるものではなく、感性が要求されるため個人差が出て面白い。仲間内では樹を見ると誰の作か、だいだいわかりますね」と難しさと魅力を語った。
松盆栽には、芽切り、芽かぎ、古葉取り、葉すかし、植え替えなど年中の作業が多い。これらをきっちりしておくと、針金の効果が大きくなり、繰り返すことで樹格が向上する。やはり盆栽は時代が命である。さらに「畑の段階から根張りのいい素材を作ることも大事なんですよ」と、よりよいものにこだわるプロの秘訣(ひけつ)を教えてくれた。
(ライター・羽野茂雄)