ASPAC参加作家(2)「鑑賞者も一緒に楽しんで」
11月18日から21日まで高松市で行われるアジア太平洋盆栽水石高松大会(ASPAC高松)では、県内からは先週紹介した平松浩二さん(43)と高松市鬼無町の松田清松園の松田三男さん(39)が出演する。松田さんは、黒松寄せ植えを披露する予定で、構想を広げている。
3時間のデモ
松田さんは、3時間という制約の中で、比較的完成させやすい寄せ植えを選んだ。針金掛けなどは、銘木が必要で時間もかかる。寄せ植えならガラリと変えるスピード感があり、それなりの樹でも形にしやすい利点がある。外国でも、さまざまな樹を使って楽しむことができる。
県内から平松さんと2人だけデモンストレーターに指名されたことを松田さんは感謝している。「そうそうたる面々の中で、ある意味日本代表ですから、こんなに光栄なことはない。鑑賞者も一緒に楽しんでもらえたら」と、エンターテインメント性も重視しようと意気込む。
構想膨らませ
松田さんは、鉢に見立てた縦80センチ、横120センチの大きな鉄板を用意。海岸から美しい海を眺める構図を浮かべている。断崖を思わせる岩は東海地方で焼いてもらった。頂上に樹高70センチの黒松を植えて主木とし、見るものを引き付ける近景に仕立てる。島々にはやや小ぶりな黒松を植えて中ほどの景色を作り、遠景の山並みはコケなどで表現する。盆栽というより盆景に近い考え方だ。
出演を1カ月後に控える松田さんに朗報が届いた。10月初旬に審査があった第37回作風展(12月3~6日、東京)で、文人部門の最高賞である組織委員長賞の受賞が決まった。作品は五葉松三幹で樹高105センチ。4年前の第33回でもサツキ部門の最高賞を受けており今回が2回目となる。
松田さんは「樹の正面を変えたらいい雰囲気になってきた。ひょっとしたらと思ってはいましたが、ASPACにも弾みがつきました」と喜んでいる。
(ライター・羽野茂雄)