サツキの魅力 花が咲けば苦労吹っ飛ぶ
香川県高松市庵治町の太田冨美男さん(75)はサツキの愛好家だ。昨年11月に京都で開催された大観展では太田さん所有の「日光」が組織委員会賞に選ばれた。サツキの花にほれ込んで四十数年、毎日の世話にいそしむ太田さんにサツキの魅力を聞いた。
年中楽しめる
太田さんの家には、100鉢以上のサツキが並ぶ。日光、晃山、紅梅、若恵比寿など種類も多い。挿し芽で増やしたり購入するなどして、長く培養している。樹齢60~70年の木もある。
サツキの花期は短い。しかも、咲いて間もなく花がらを摘む愛好家にとって、花をめでる時期は1週間から10日が限度とも言われている。
それでも、太田さんは「サツキは1年中楽しめるから素晴らしい。一度はまったら抜けられません。夏場は水やりで出かけるのもままならないが、5月の花を見たら、そんな苦労も吹っ飛びます。花のおかげで元気に暮らせています」と目を細めていた。
水が命
花を楽しんだ後は、6月に芽摘みを行うと、7~8月にはつぼみがつく。冬は大半の葉が落ちるが、2月末頃から新しい葉が出て、木の形が整ってくる。
太田さんは「冬の姿は寂しいが、つぼみは元気に育っています。早春の衣替えが終わると、花が咲きます。木の形は春と秋が最も美しい」と教えてくれた。
世話の中で命とも言えるのは水やり。春秋は1日1回、冬は2~3日に1回でよいが、夏は朝の10時、昼の3時、夕方の3回与えている。肥料は2月末、花後の6月、10月の3回施すが、少なめがコツ。
今年も、玉藻公園、グリーンフェスタ国分寺、そして大観展などへの出展に意欲を燃やす太田さん。願いは、若い人たちにもっとサツキの美しさに親しんでもらうことだ。
(ライター・羽野茂雄)