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盆栽主義

鉢の中の小宇宙・盆栽の魅力に迫る地元四国新聞の連載記事

小学生に伝える 郷土への愛着心はぐくむ

2010年6月5日

 盆栽どころとして知られる高松市の鬼無町や国分寺町では、小学校の学習に盆栽に親しむ時間を取り入れている。町の自慢の盆栽を世話することで、自然を大切にする心を育て、郷土に愛着を持たせるのが狙いだ。

10年後を楽しみに

 国分寺北部小学校(高松市国分寺町、日詰裕雄校長)では、総合学習の時間に盆栽の勉強に取り組んでいる。同校にある文化財から名付けた「赤門学習」で、毎年3年生全員が学んでいる。

 講師は、同校の卒業生で学校近くにある春松園4代目の平松浩二さんが務めている。児童たちは、3年ものの15センチほどに育った五葉松の苗木を1人が1本ずつ、枯葉取りや水やりを続け、植物を大切にする心を育てながら、クリスマスなどに飾り付けをして楽しんでいる。

平松さんの指導を受ける児童たち
平松さんの指導を受ける児童たち=高松市国分寺町、国分寺北部小学校

 平松さんは「松はこれだけ育つのに3年かかる。だから大切に育てようね。松は生き物なので、水をあげないと枯れてしまう。夏休みも毎日2回の水やりを欠かさないように。10年後を楽しみに」と、日々の世話の大切さを教える。

 児童たちは自分の鉢に名前を書き、毎日登校時と下校時の2回、水を与えながら見守っていく。

五葉松の苗に水を与える児童たち
五葉松の苗に水を与える児童たち

質問も続出

 地域に盆栽畑が広がり盆栽農家の子どもたちもいる土地柄で、児童たちの盆栽に対する意識は高い。

 盆栽に関する話の後は質問の時間。「冬も水をあげるのですか」「雨の日の水やりは」「植え替えはいつごろするのですか」「松が大きくなったら針金はのけるのですか」などなど。小学生とは思えないほどの質問が続出した。

 3年団主任の国木規子教諭は「赤門学習は北部小の伝統です。地域が日本一の松盆栽の産地で、子どもたちが専門家から直接地域の誇りを学べるのはありがたい」と、盆栽学習の意義を話している。

(ライター・羽野茂雄)