萌雅展が10周年 新春に際立つ粋な展示
香川県高松市鬼無町の盆栽作家たちが1月1日から3日まで、同市玉藻公園披雲閣で「萌雅(ほうが)展」を開催した。10回目を記念して初めて正月に開催。晴れ着姿で公園を訪れた年始客も交えて、過去最高の1500人近い鑑賞者でにぎわった。
本格的な床飾り
披雲閣は1917(大正6)年に完成した松平家12代当主賴寿(よりなが)公の別邸で、高松市の有形文化財に指定され、将来は国の重要文化財指定を目指している。披雲閣を会場にした萌雅展は、本格的な床の間を使った展示が特徴だ。頼寿公は、国風盆栽会の初代会長で「小品盆栽」の名付け親でもある。
披雲閣の「杉の間」「松の間」「波の間」「大書院」などの部屋には床の間があり、盆栽だけでなく添え草や掛け軸などを配置した席飾りができる。今回も松柏、雑木、水石など約30点が展示され、来場者のため息を誘った。
披雲閣は来年、高松市で開催される第11回アジア太平洋盆栽水石大会(ASPAC)の会場になる。床の間と枯れ山水の庭園が醸す日本の美に外国人の目が釘(くぎ)付けになることだろう。
気鋭作家たちの競演
実行委員会の作家たちの床飾りも注目を集めた。花澤登人さんの赤松文人木は、シャリに古木感があふれ、雪山をイメージする軸とともに山水画の境地を表現している。中西陽一さんの黒松寿は、山採りらしい風格ある根張りが持ち味で、枝順の良さに長年の培養管理がうかがえる。松田三男さんのサツキ若恵比寿は、根張りの良さと右最下部の枝の樹冠が半世紀を超える時代感を演出している。
席飾りを楽しむ同展では、各賞は選ばない。鑑賞者が投票する感動した作品には、三豊市の筒井信雄さんが出展した正月飾りの王道でもある黒松が選ばれた。
(ライター・羽野茂雄)