寄せ植えで寿ぐ正月 めでたい木々で至福の時
「松竹梅」の言葉に正月が連想される季節になった。めでたい木々を鉢に集めた寄せ植えで寿(ことほ)ぐ正月は、誇るべき日本の盆栽文化である。香川県高松市国分寺町、「開耶香房」の橋本佑介さん(32)に、寄せ植えづくりを実演してもらった。
高植えがプロの極意
正月の寄せ植えには松竹梅を基本に、ナンテン、葉ボタン、ヤブコウジ、フクジュソウ、マンリョウなどが好まれる。松や竹の緑にナンテンやヤブコウジの赤い実や葉、これに凛(りん)とした梅の花が咲き、フクジュソウが開くと、鉢の中の小宇宙が見事な正月風景を演出する。至福のひと時だ。
橋本さんは、「寄せ植えは高さ、色合い、枝ぶりなどから、位置を決めて植えるとよい」と話す。そして、「砂を高く盛り、鉢より上に木々がせり出すような”高植え”が美しい。技術的には難しいが、正月ぐらいはこだわりたい」と、プロの技の一端を見せてくれた。
コケや小物で仕上げ
高植えにするため、松や梅など背の高いものは倒れないように針金で軽く止めておく。これに竹やナンテン、ヤブコウジをくっつけるように植えていく。石をすえて川砂の上で全体の形が決まると、いよいよ化粧を施す。コケを張り、寒水石と呼ばれる白い砂を入れる。白砂の配置で川や島を表現する。コケの緑や砂の白が鮮やかなコントラストを描くなか、鶴、亀や灯ろう、橋などの飾りを置くとでき上がりだ。
後は、三が日に美しく咲かせるために管理する。梅の花が終わるころを目途(めど)に松や梅、竹、ナンテンなどは、植え替えて水やりなどの管理をすると、翌年の飾りにも使えるそうだ。
「開耶香房」では、年間を通して寄せ植えやコケ玉作りの教室を開いている。問い合わせは電話、087(813)5287。
(ライター・羽野茂雄)