冬を彩る実もの 正月にふさわしい小品
冬になると秋の花ものが鳴りを潜め、寒風の中に赤や黄の実をつける凛(りん)とした実ものが登場する。香川県高松市国分寺町、はるちゃん盆栽の岡田利幸さん(58)に、正月にふさわしい小品を見せてもらった。
めでたい赤い実
家の庭でもよく見かけるピラカンサ、和名は「ときわさんざし」。自然に伸ばせば人の背丈も越える木だが、小品盆栽でも人気樹種である。鉢で小さく育てるのも楽しい。ただ、鋭いとげがあるのは要注意だ。
樹齢15年以上の木を鉢で18センチほどに仕立てている岡田さんは、「幹がこれくらい太くなると迫力でしょう。挿し木すると簡単につくので、ビギナーでも親しみやすい」とピラカンサの魅力を語っている。
同じく赤い実をつけたコトネアスター。こちらも樹齢15年ほどだが、樹高は21センチ、ピラカンサに比べると姿かたちが優しく室内でも飾れるほどの大きさだ。
珠玉は落葉後の姿
名前も姿も似ているが、ウメモドキはモチノキ科、ツルウメモドキはニシキギ科に属する。前者は盆栽でも、株立ちや模様木に仕立てられる。晩秋の落葉後に赤または白の丸い実が目立つため、すっかり葉を落とした姿が愛されている。実をつけた姿が開花期の梅に似ていることから、この名がついたようだ。
後者は全国の山野で普通に見られる丈夫な木だ。つる性で、庭に植えて塀にはわせたりする。古木になると、幹が荒々しくなり風格を増す。冬はオレンジ色の実をつけ、生け花材料としても人気がある。
ともに雌雄異株で、実をつけるのは雌株だけ。実は小鳥の好物でもあり、屋外に置くときは食べられないようにネットを張るなど保護する必要がある。写真で紹介したウメモドキは8年もので、樹高9センチ、ツルウメモドキは3年、9センチの小品だ。
(ライター・羽野茂雄)