席飾り 創意工夫でファンを魅了
盆栽展では、主役の木の良しあしはもちろん、席飾りといわれる展示も見どころとなる。10月末に香川県高松市国分寺町で開かれたグリーンフェスタ国分寺でも、工夫を凝らした展示が盆栽ファンの注目を集めていた。国分寺町の清寿園主、平松清さん(59)に席飾りの魅力を聞いた。
伝統の重み
同フェスタで最高賞の文部科学大臣賞に輝いた香川県三豊市豊中町、筒井信雄さんの黒松。樹高60センチ、樹齢は100年以上とみられる模様木だ。枝順の良さが光る。畳一枚ほどの限られた席のスペースを生かすため、かれんな花をつけたミセバヤソウを添えに配し、主木の黒松を大きく見せ、風格を醸している。泥ものの中国鉢は古いものではないが、渋い色彩で黒松の味を引き立てている。伝統的な展示から自然の雄大さが伝わってくる。
環境大臣賞は香川県善通寺市木徳町、芦田隆さんの赤松が受賞した。山取り特有の荒々しさが強烈で、立ち上がりのシャリに古木感と味わいがある。空洞のような大きなキズを生かして作り変えたアイデアが評価され、環境大臣賞を受けたのだろう。鉢も樹形にふさわしい深さがある。添えに紅葉したツタを使っているが、古風なものを使えばもっと引き立つはず。あと10年、20年と時代がつくとさらに風合いを増しそうだ。
主張が光る小品
農林水産省生産局長賞は香川県さぬき市津田町の山田稔さんの小品が受賞した。
黒松を主木に、クチナシ、チリメンカズラ、チョウジュバイなど秋の深まりを感じさせるものを中心に配置。それぞれが大きめで、根卓に載せたシンパクの前置きでバランスを取っている。主木に対する方向性も合ってすっきり見える。主木の黒松や前置きのシンパクは全国レベル、ほかも申し分ない木ばかりで、力強い主張が伝わってくる。
(ライター・羽野茂雄)