サツキ(上)人気の樹形 待望のシーズン到来
盆栽は松柏と雑木に大別されるが、サツキは別格で扱われるほど愛好者が多い。5月は文字通りサツキの季節で、各地でサツキ展が開催される。国分寺町さつき会の大西芳文会長(61)に、代表的な樹形や魅力を聞いた。大西会長は、店の屋上で約百鉢のサツキを育てている。
模様木が中心
サツキの多くは「模様木」である。長年の風雪で、幹がくねって優雅な曲線を描く樹形だ。大西会長の自慢は、1993年から育てている「花月(かげつ)」。3―4年に1回鉢替えをして、コケ順のいい模様をつけてきた。
「根連なり」という樹形もある。一株から数本の幹が立ち上がる株立ちの一種とも言えそうだが、それぞれの幹が独立していながら根が連なっている。単幹と違って、樹形自体で林のような雄大な美を表現する。7本の幹が林立する「白兆(はくちょう)」には、真っ白な花が咲く。
「根上がり」は、長い年月で根が地表に露出し、数本の根が幹のようになって樹(き)を支える樹形。崩れやすく柔らかい地盤で自然にできるが、人工的に根上がりを育てる技術もある。さつき展などでプロに尋ねよう。
多種多様の魅力
先代の時代から松も育てている大西会長。サツキの魅力を「花がきれいで1カ月も楽しめる。路地なら雨水だけでも育ち、素人が剪定しても枯れることはない。種類が多く毎年新種も出るし、飽きません」と明快に語る。「それに、松は手が痛くなるし…」と笑う。
(ライター・羽野茂雄)