鬼無の名品 自然界の姿を鉢で表現
10月19日から21日まで、高松市鬼無町の県鬼無植木盆栽センターで「第25回きなし盆栽植木まつり」が開かれた。鬼無では伝統的に賞は出していないが、特別展示された約20点の中から神高国広組合長ら関係者に名品3点を選んでもらい、副組合長の出上文雄さん、神高恵二さんに講評してもらった。
中西珍松園の黒松寿
この木の一番の見どころは、八方根張り。力強く土をつかむような見事な根張りだ。皮肌の荒れ具合もいい。盆栽は根元が太くて、上に行くほど細くなるのがいいが、その典型だろう。一の枝、二の枝、三の枝と、枝配りもきちっとできている。黒松寿は実生ではできず、すべて接ぎ木で作る。成長が遅く10年生程度の苗木はあるが、これほど年季の入った木は貴重品だ。(神高恵二さん評)
神高松寿園の五葉松
盆栽は背が高くて細いよりも、低くて太い方が古く見える。頭が丸く葉状もよく古さを増している。鉢に上げてから長年持ち込んでいるため、味が出て勇壮な感じがする。古木なのに頑張っている風情がいい。上手の手にかからないと芸術性は拡大しない。作者は大変な技術の持ち主。根張り、立ち上がり、鉢合わせもよい名木といえる。自然界の姿形を鉢の中で表現する盆栽の理想を見る思いだ。(出上文雄さん評)
出上吉洸園の黒松
山取りの黒松で、鉢に仕立てて40年以上にはなるだろう。山取り独特の絶妙な斜幹、舎利幹(しゃりかん)と、培養管理による葉のそろい方がいい。植物は自然に任せると上部が強く育つものだが、あまり強弱がついていない。芽切りの時期をずらせて葉の強弱をそろえている。作者の高度な技術と地道な丹精がうかがわれる。斜幹は丸鉢系統に合わせるのがよく、鉢合わせもいい。 (神高恵二さん評)