松田三男さん(松田清松園)
松田清松園4代目の松田三男さんは、「自分が初代だと思ってゼロから積み重ねるべき」という言葉を心に刻んで盆栽づくりに取り組んでいる。
高松高専を卒業後、8カ月のイギリス語学留学を経て香川大学に編入。公務員試験を受けるなど、盆栽とは縁遠い生活を送っていた。転機は24歳のとき。国分寺町の盆栽家に「田んぼにあるたくさんの黒松は、継いだら全部君のもの。もう一度よく考えてみては」といわれたのがきっかけで園を継ぐ決心をし、父・健治さんの下で学び始めた。
「センスや技術は、跡を継げば身につくというものではない」と冷静で、県外、国外にも積極的に出かけ、持ち前の研究熱心さで見識を深めている。展覧会で古い絵に描かれた松を見ても、枝ぶりや作り方を考えてしまうほどだ。日本盆栽作風展には毎年出品し、2007年の同展で、サツキ盆栽最優秀作品に贈られる「花いっぱい協会賞」を受賞した。「見事な盆栽を作る人はたくさんいる。負けてくやしくても、ヒントをもらってレベルアップできる。作風展は勉強になる」。
鉢についての造詣も深い。鉢は盆栽を引き立てる衣装だといい、「盆栽は鉢まで含めトータルで見る美。鉢合わせで盆栽の美しさも大きく変わる。いい鉢に入れて、よりきれいな姿で見てもらいたい」と魅力を語る。
広い目を持ち、パフォーマンスとしての盆栽づくりも重視する松田さん。「先人が築いてきた鬼無の盆栽文化を尊重し、次世代に伝えつつ、外の世界にも進出していきたい。あちこちに出かけるのは下積みのつもりです」と、自分なりの盆栽づくりを模索している。