小品の改作(下) シンパク 散髪のようにすっきりと
松と並んで愛好家に人気の高いシンパク。手入れの行き届いたシャリやジンは、息をのむほど美しい。社団法人全日本小品盆栽協会理事の平松浩二さん=香川県高松市国分寺町=に、樹齢約50年、樹高20センチの小品シンパクを改作してもらった。
冬場が適期
改作は、黒松と同様4~5年ごとが望ましい。葉のかさが膨らみ、シャリやジンが見えにくくなるころが目安だ。ジンやシャリの彫刻は、植物が休眠する冬場に行うのがいい。水揚げが少ないため、樹液がにじみだすこともなく、木への負担が軽いそうだ。これからの寒い時期が適期だ。
あたかも自然にできたようなジンを作るには、枝を長めに切っておいて、数年後に彫刻するとよい。
大きい木は針金より先に枝を外して小枝で仕上げる方法もあるが、小品の場合、針金は下から上に行うのがやりやすいそうだ。剪定(せんてい)で不要な枝を除きながら針金で整姿していく。
仕上げは水洗い
シンパクの命とも言えるジンやシャリは、どうして美しいのだろうか。それは作家たちが丹精を込める仕上げ作業に理由がある。
剪定や針金掛けで整姿すると、木がすっきりしてジンやシャリがよく見えるようになる。ここで彫刻となるが、古木感を出す重要で高度な技である。
整姿を終えると、ウオーターガンの水で洗って、水あかや水ごけを丁寧に取り除く。彫刻した部分の白さを際立たせるには、石灰硫黄合剤を塗る。これが化粧を兼ねた防腐剤となり、木が朽ちるのを防ぐ。そして季節が経過して硫黄合剤が溶けだすと、自然の味わいが醸し出される。
平松さんは「シンパクも黒松も改作の概念は同じ。人間の散髪みたいに、もさっとなってきたら、すっきりさせてやるのが基本です」と教えてくれた。
(ライター・羽野茂雄)