台風に備える 接近までの時間が勝負
秋になると、盆栽作家たちにとって心配の種が一つ増える。台風による風水害対策だ。このところ香川県は大きな台風には見舞われていないが、台風が発生すると、さまざまな準備に追われる。香川県高松市国分寺町、清寿園の平松清さん(61)に、台風時の注意を聞いた。
天気予報に注意
台風は発生してから日本に近づくまで、ある程度の時間がかかる。この時間が勝負である。
大きい台風だと、まずは盆栽を避難させることが第一。小品盆栽や実もの、花ものなど小型の盆栽は、屋内に避難させるのがよい。トレーにまとめる場合は、鉢と鉢にすき間ができないようにすると風にも強いそうだ。大雨による水害が予想される時は、棚を高くするなど工夫が必要だ。
梅雨明けから秋にかけて日除けに使う寒冷紗は、飛ばされることもあり、外しておくのが無難だ。ただ、急に太陽に当てると盆栽が弱るため、外すのは曇りの時がいいという。台風が終わっても暑さが残っているようだと、再び寒冷紗をかける必要がある。
鉢はひもで結わえる
多くの園では盆栽を棚場で育てているが、風通しや日当たりがいいようにしているだけに、台風などの強風には弱い。特に背の高い木、小さめの鉢に植えた木、足の付いた鉢などは転びやすい。文人木のように、ひょうひょうとした樹形のものも倒れやすい。
動かすのが大変な大型盆栽は、鉢を台にひもでしっかり結わえる。それでも危ないほどの風が予想される時は、あらかじめ鉢を風の当たらない壁際や塀際などに下ろすのも有効だ。
平松さんは、台風で高価な鉢を台無しにした痛い経験がある。「台風になると、何度も目が覚めます。対策は早め早めにしておくのが大切です」と話している。
(ライター・羽野茂雄)