小品の植え替え 繊細な幹肌の保護に注意
香川県高松市国分寺町、松友園2代目の川北春雄さん(68)。全日本小品盆栽協会香川国風支部に属し、黒松を中心に小品盆栽を数多く手がけている。春は植え替えのシーズンで、例年3月から4月いっぱいくらいまで作業に追われている。
自作の鉢で
植え替えの手順は基本的には大型盆栽と同じだ。3年か4年に1回程度、鉢に根が詰まり、土が固まり、水はけが悪くなるころが目安。小品は大型盆栽に比べるとより繊細で、植え替えの時は幹の扱いに注意する必要があるそうだ。
植え替えたのは樹齢10年ほどの小品黒松。ずっと鉢で育てているため、細いが皮相に時代が出ている。
鉢から木を外す時は、全体を水に浸すとよい。古い土はほとんど落とす。下へ伸びた太い根や黒く根腐れした根を取り除く。根張りが重なっている場合は、不要な方を切り取る。ハサミで整姿して、新しい鉢に植え替える。川北さんは鉢も自分で焼いており、黒松との色合いを考えて楕円形で茶系統の鉢を選んだ。
大型に劣らぬ味わい
水はけをよくするため4~5ミリの砂を底に敷き、やや細かい砂と赤玉土を混ぜて盛る。砕いた木炭を混ぜると根腐れにも効果的だ。
土は真ん中を高く盛り、根っこを押しつけるように植える。バランスを見ながら、風でぐらぐらしないよう針金で止める。木と鉢の間の隙間は、串などで土を突き込む。土はコテで固めておくと、水やりの時にも流れない。
植え替えが終わると、バケツの水で、ほこりを洗い流す。展示会に出す時は、コケを張って化粧する。
川北さんは「小品は持ち運びが簡単で、どこででも手入れができるので気に入っています。いろんな飾り方が楽しめ、小さくても大型に負けない味わいがあります」と話している。
(ライター・羽野茂雄)