山野草の植え替え 用土と時期がポイント
春は植え替えシーズンである。山野草は1~2年に1回、盆栽は2~4年に1回とされているが、鉢に根が詰まって水はけが悪くなり、用土が劣化したら植え替えの目安である。花澤明春園=香川県高松市鬼無町=の花澤登人さんに植え替えのコツを尋ねた。
土はすべて替える
大半の山野草の植え替えは、基本的には生育の止まる休眠期に行うのがよい。雑木は芽が吹く前が適期。桜のような花ものは、花が咲く前か、花後から葉が出るまでの時期がよい。杜松(としょう)、杉は5~6月の温かい時期に植え替える。
花澤さんにしだれ桜の植え替えを見せてもらった。推定樹齢10年ほどの若い木のため、鉢の古い土はすべて落として新しい土と入れ替える。土を落とすと、根がかなり伸びている。傷んでいる根や勢いの強い根は切り落とし、最後は水洗いして土を落とす。
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作業は迅速丁寧に
植え替えは木にとっては大手術である。そのため迅速かつ丁寧な作業が要求される。新しい鉢と用土はあらかじめ準備しておこう。鉢底に虫の侵入を防ぐネットを張り、粗いゴロ砂を敷いた上に、赤玉7、ボラ土3の割合に竹炭をブレンドした用土を入れる。雑木のほとんどがこれで、松柏には砂を混ぜる。
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根をすっきりさせた木を鉢に入れ、用土がまんべんなくいきわたるように竹ぐしなどでつつく。強風で木が揺れないよう針金で固定するのも良策だ。
植え替えが終わると、ゴミや用土の粉をすべて洗い流すようにザブザブと水をかける。
3月中にこうしておけば、今年の4月にも花が見られる。花澤さんは「大手術には違いありませんが、用土と時期さえ間違わなければ失敗はありませんよ。それが植物の強さと魅力ですかね」と話している。
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(ライター・羽野茂雄)