技術編(5)小品 無限大に広がる楽しみ
手軽でかわいい小品盆栽の人気が高い。樹高はおおむね20センチ以下、ミニ盆栽とも呼ばれる。高松・松平家十二代松平頼寿公が創始者で命名者とされる小品盆栽。それだけに、ご当所香川では伝統の継承が強く望まれる。
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これからの時流
香川県高松市国分寺町、春松園4代目の平松浩二さん(40)。国分寺では数少ない若手後継者で、業界の将来を担うリーダーとして嘱望されている。
浩二さんは高度な技術を持つ平松国昭さん(63)の長男として盆栽に親しみ、業界の盛衰を目の当たりにしてきた。そして、全国の展示会にも足を運び、手がけ始めたのが小品盆栽。直接のきっかけは顧客の熱心な要望からだった。
「高齢化や住宅事情を考えると、これからは小品の時代。小さくても、大きい盆栽に負けない大木感、古木感をいかに出すかが課題」と明言する。
女性にも人気
小品盆栽は、草物まで含めた7点を”富士”という棚に展示する場合が多い。樹種、彩り、鉢合わせなど全体の調和がよければ、えもいわれぬ雰囲気がある。組み合わせ次第で、楽しみ方も無限大に広がる。
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しかし、小品の単品で楽しむ人も多い。雑木は実もの、花もの、草ものなど千差万別。木によって手入れの仕方も違う。木も鉢も普通サイズの盆栽より小さいため、水の管理や針金かけは大変だが、丹精すれば風趣が増してくる。
各地の講演に引っ張りだこの浩二さんは、手軽で取っ付きやすい小品盆栽の魅力を説く。春は緑が多くさわやかで、秋は実ものが色づき華やか、落葉する冬は佇立(ちょりつ)する裸の幹の孤立感がまたよし、という。
「団塊世代の退職で盆栽人口は増えるはず。講演に女性の参加が多いのもうれしい」と盆栽人気の復活に期待を寄せている。
(ライター・羽野茂雄)