春の手入れ(下)松柏編 植え替えで樹格が向上
ソメイヨシノが開花するころに、松柏類の植え替えが最盛期を迎える。根が活発に動き出す直前の3―4月が適期となる。高松市鬼無町の神高松寿園で、同園の3代目・神高藤義さん(74)と4代目・神高恵二さん(49)父子に五葉松の植え替え作業を見せてもらった。
4、5年に一度
勢いよく成長する雑木類は毎年のように植え替えが必要だが、松は根の成長が緩やか。4、5年ごとの植え替えが望ましく、鉢いっぱいに根が張ったころが目安だ。この時期を見逃すと、鉢にびっしりと根が張り、木が鉢から浮いたようになってしまう。こうなると、植え替えで木に負担が大きくなり、木が傷みやすい。
鉢から木を抜き、数年前の植え替えの時に入れた土を落とす。そこではみ出した細い根は切り落とす。四方八方に素直に伸びた根は残し、いびつな方向に広がる根は切る。水洗いしてほこりを落とし、根元の汚れはブラシなどで取り除いておく。
ワンランク上の鉢を
新しい鉢を選び、木の向きや座りを考えながら、砂と赤玉を混ぜた土を入れていく。土と木を密着させるため、へらでつついて空間をなくする。木が安定するよう、針金で止める場合もある。最後は化粧砂で仕上げるが、「土の表面に少しくぼみをつけておくと、水かけが効率的」と藤義さんが秘けつを教えてくれた。
鉢のサイズは、元と同じか少し大きめ。あまり大きいと水が入りすぎて根腐れの原因にもなる。時代がついてくるため、ワンランク上の鉢を選ぶのがよい。
植え替えが終わると、たっぷり水をかけ、鉢の底のほこりを流す。根が成長を始める時期で、一週間もすると新しい根が伸びてくるのがわかる。こうしたきめ細かい世話で、樹格は一段と向上していく。
(ライター・羽野茂雄)