春の手入れ(中)雑木編 思い切って刈り込み
盆栽の木々が冬場の休眠から目覚める春先は、植え替えの時期である。根や葉の動きが活発な雑木は2―3月ごろが適期で、松柏類はやや遅い3―4月ごろがシーズン。高松市国分寺町にある春松園4代目の平松浩二さん(41)は、小品盆栽を数多く手がけ、この時期は雑木の植え替えに追われている。
根も枝も半分に
樹齢15年ほどの寒グミの植え替えを見せてもらった。植え替え前は、樹高17センチ、徒長枝も見られる。雑木は勢いが強いため、根が成長して鉢いっぱいに膨らみ、水はけが悪くなってくる1年から2年が植え替えの目安だ。
植え替え時には根を半分ほどに切り落とし、土もほとんど取り除く。落葉樹は葉が自然に落ちるが、グミ、クチナシ、ビナンカズラなどの常緑樹は、葉をすべて落としてやる。枝も思い切って切ると、新しい枝が増えてくる。新しい土に植えると、大量に水をかけ、鉢の底のほこりを流す。こうしておくと、1カ月もすると美しい新緑が楽しめるそうだ。
鉢合わせも楽しみ
20分ほどの手慣れた作業で、樹高14センチに刈り込まれた寒グミ。丸裸のような状態に見えるが、よく見ると新しい芽が吹き出している。平松さんは「雑木は挿し木でも着くほど勢いがよく、強く切り込んでも大丈夫です」と話している。
盆栽は、植え替えをするたびに樹格が上がると言われている。時代がついてくるのは当然だが、植え替え時に行う改作や針金かけで木々に風格が増してくる。そして、成長に合わせてふさわしい鉢を選ぶ鉢合わせの効果も大きい。
特に、小品盆栽の場合は、他の盆栽とセットで飾る場合も多いため、それだけ鉢の比重も大きい。いろいろな飾り方で鉢を考える楽しみが膨らんでくる。
(ライター・羽野茂雄)