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盆栽入門

基礎知識や普段の手入れ、鑑賞のツボ…盆栽の「いろは」をプロが解説します。

いい木の選び方 将来の成長を見極める

2009年3月2日

 盆栽を始めるには、いい木を選ぶことが大切だ。将来どのように成長していく素材であるか、プロの判断を仰ぐのがお薦め。松盆栽の選び方について、高松市国分寺町、清寿園の平松清さん(60)に聞いた。

樹齢100年以上の山採り黒松
樹齢100年以上の山採り黒松

種木の選定

 黒松の場合、基本的には丈が低くて根元の太いしっかりしたものがよい。素材の持つ枝順や根張りのよさも大切で、プロにも相談しながら、針金による整枝を考えに入れて選ぶとよい。若木でも幹肌が岩石性になっているものを探すと、将来が楽しみになる。

 五葉松は、黒松の台木に接ぎ木するため、根元の接ぎ跡が目立たないものを選ぶ。時代が「のってくる」と接ぎ目が分からなくなるものが理想だ。根は力強く四方に張って、根元の太いものがよい。上にいくほど細くなる、いわゆるコケ順のよさも重要だ。葉は短く、ねじれなどのないものが良いとされている。

樹齢50年ほどの実生の黒松
樹齢50年ほどの実生の黒松
樹齢15年ほどの実生の黒松
樹齢15年ほどの実生の黒松

樹形ごとにポイント

 古木になると、総じて根張り、立ち上がり、幹の流れ、幹肌、枝順、葉性、そして古木感などが重要視されるが、樹形によって微妙に違ってくる。

 人気のある模様木は、幹が前後左右に自然な曲線を描くものがよいとされる。ただし、どんな大きい模様を描いても、縦冠部の中心は、根元の基点と垂直に結ばれる線上にあるのが理想的だ。奔放な変化の中にも調和した美しさが模様木の見どころでもある。

 丸い幹がまっすぐに立つ直幹の樹形は、安定感のある八方根張りやコケ順のよさが大切だ。左右対称に近い枝が好まれ、枝の長短や配置によって、格調高い姿が生まれてくる。

 根強いファンのいる文人木になると、幹の太いものはだめで、細幹で幹肌に時代がのっており、枝数が極端に少ないものを選ぶといいとされている。

(ライター・羽野茂雄)