種類(下)山野草-身近さが女性にも人気
野山の四季を彩る山野草。園芸品種のような華やかさはなくても、四季折々に味わい深い日本古来の和の魅力を感じさせてくれる。高松市鬼無町、花澤明春園の花澤登人さん(52)に魅力を聞いた。
季節を遊ぶ
花澤明春園のパンフレットのタイトルに「季節を遊ぶ」とある。「山の木、野の草、傍らの花」の言葉も添えられている。花澤さんは松盆栽の傍ら、数年前から山野草の栽培に力を入れている。
「自然の草花を自分の好きな器で楽しむ山野草。来客を丹精込めた山野草でもてなすと季節感も味わってもらえる。松柏盆栽に比べると身近な感じで、最近は特に女性に歓迎されています」と花澤さんは話す。
お薦めを尋ねると、春はサクラソウ、エンレイソウ、マイヅルソウ、夏はギボウシ、ウメバチソウ、ショウマ、秋はホトトギス、ノギク、ダイモンジソウ、冬はスイセン、ユキワリソウあたり、よどみなく美しい名前が出てきた。種類の多さも山野草の魅力だ。
自分だけの一鉢
花澤さんの作品や写真を見せてもらった。薄い鉢の中に数本のツクシがにょっきり。野にある姿が想像され、ほほ笑みを誘うような光景だ。
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フクジュソウは鉢の中に正月のめでたさが漂う。写真で見るミズトクサは夏の野草だが、鉢に上げると盛夏に涼感を呼びそうだ。繁殖力おう盛で、株分けするのも楽しいと言う。より自然に近い姿の再現を心がけているというが、どの作品も自由奔放だ。
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花澤さんは、数年前のガーデニングブームで増えた園芸ファンの目が次第に華やかな洋物から和物の山野草に移って、その身近さと手軽さから、女性を中心に静かな人気が高まると分析している。山野草の普及拡大を願い、自園で愛好家のランクに合わせた教室も開いている。
(ライター・羽野茂雄)