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盆栽入門

基礎知識や普段の手入れ、鑑賞のツボ…盆栽の「いろは」をプロが解説します。

種類(中)雑木-花ものの代表はサツキ

2009年2月9日

 松柏盆栽以外のものは雑木盆栽と呼ばれる。モミジやカエデなどのように葉を楽しむものと、花もの、実ものなどがある。常緑の松柏に対して、雑木は四季の変化と種類の多さが際立つ。高松市国分寺町、山松園の山地宏美さん(56)に雑木の魅力を聞いた。

見事な四季の七変化

 山地さんは松柏盆栽のほかに、ヤマモミジ、サツキ、カエデ、ブナなど数多くの雑木盆栽を育てている。欧米との取引も行っており、さまざまな盆栽を要求されることがあるからだ。

 冬場は一部の常緑樹を除きほとんどの木が落葉し、枝だけの寂しい冬枯れの姿になっているが、山地さんは「これはこれで風情がある。よく見るとすでに新芽を持ち、生命力が感じられる。春に新緑が芽吹き、秋に紅葉する。小さい鉢の中で季節が移ろう。その時々の写真を並べて楽しみたいほどの七変化です」と、雑木の魅力を語る。

 モミジ、カエデをはじめ、ケヤキ、ヒメシャラ、ハゼ、ブナなど大木になる木を鉢で小さく育てて楽しめるのも雑木盆栽の特徴だ。

冬の林を連想させる株立ちのヤマモミジ
冬の林を連想させる株立ちのヤマモミジ

5月には展覧会盛ん

 サツキは愛好家が多く、5月には各地でサツキ展が行われ、800種以上とも言われる品種の中で、愛好家たちは好みの一品に丹精込めている。

 山地さんの自慢の品は樹高55センチの「珍山」、35センチの「晃山の月」。いずれも半世紀以上の歴史を持つ名品だ。「珍山」の根張りと理想的な枝順は鉢映りもいい。「晃山の月」は枝の太りにくいサツキで、見事なタケノコ幹と全体のシルエットが美しい。サツキのほか、花ものでは、ウメ、ボケ、チョウジュバイなどがもてはやされている。

タケノコ幹が素晴らしい「晃山の月」
タケノコ幹が素晴らしい「晃山の月」
優しい姿かたちの「珍山」
優しい姿かたちの「珍山」

 実ものでは、カリン、ウメモドキ、ヒメリンゴ、ピラカンサの伝統的品種に加え、近年はロウヤガキの人気も高い。

(ライター・羽野茂雄)