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盆栽主義

鉢の中の小宇宙・盆栽の魅力に迫る地元四国新聞の連載記事

輸出に備える 技と心を世界に伝える

2012年1月24日

 昨年行われたアジア太平洋盆栽水石高松大会(ASPAC高松)には海外から多くの愛好家が来場し、外国での盆栽人気がクローズアップされた。30年以上にわたって盆栽輸出に取り組む高松市国分寺町、山地山松園の山地宏美さん(59)は年明け早々、輸出の準備に追われている。

サツキの根を洗う山地さん
サツキの根を洗う山地さん=高松市国分寺町

適期は冬場

 米国やアジアへの盆栽輸出は、根周りの土の除去が義務付けられている。土の洗い流しは植物が休眠する冬場が適期だ。注文を受けると、鉢から樹を抜いて千枚通しなどで土を落とす。さらに動力噴霧器の強い水圧で土を完全に洗い流す。

 盆栽は生き物であるため、輸出の手順には当然スピードが要求される。土を洗い落とした樹は、検疫を終えると水ゴケで根を保護し、運送業者と連携し空港へ。海外の荷受人とも密に連絡し、現地でも迅速な植え付け処置を行っている。

根洗いを終えたサツキ
根洗いを終えたサツキ

 山地さんが輸出する樹は、活着率がよいと喜ばれているそうだ。「若い根を傷つけないよう丁寧に扱うのがコツ。サツキやフジなどの雑木類は土を除去しても強いが、根の数が少ない松は神経を使います」と話す。

外国人に指導

 山地さんは、長年の輸出経験などで海外にも知己が多い。ASPAC高松でも得意の英語を生かしてさまざまな場面で活躍した。山松園を訪れる外国人も多い。

ASPAC高松で活躍する山地さん(左から2人目)

 山地さんは2012年1月18日午後、高松市のアイパル香川で、外国語指導助手(ALT)三十数人を対象に、異文化体験として日本文化の盆栽を教えた。

 「ASPAC高松の盛り上がりで、外国の盆栽熱が高まっている。ALTは将来母国に帰って活躍する人たちばかり。松盆栽生産日本一の高松の歴史を紹介し、実際に五葉松の針金掛けを体験してもらいます。彼らにはぜひ、松盆栽や高松の魅力を母国で伝えてもらいたい」と張りきっている。

(ライター・羽野茂雄)

キーワード:国分寺 山地山松園