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盆栽主義

鉢の中の小宇宙・盆栽の魅力に迫る地元四国新聞の連載記事

ASPAC回顧(下)地域で支えた盆栽、海外へ

2011年12月19日

 11月18日から21日まで開催されたアジア太平洋盆栽水石高松大会(ASPAC)は、当初見込みの2・5倍以上の約7万6千人が来場して成功裏に終わった。東日本大震災や原子力発電所の事故、大会実現功労者の岩崎大蔵さんが急逝するなど、困難を乗り越えて成功に漕ぎつけることができた要因や今後の課題を小西幸彦大会会長兼実行委員長に聞いた。(聞き手・ライター 羽野茂雄)

愛好家でにぎわった会場
愛好家でにぎわった会場=サンポート高松デックスガレリア

 ―成功の要因は。

 企画がよかった。日本を代表する作家のデモンストレーション、玉藻公園披雲閣での宮内庁盆栽や国風賞を受賞した作品の展示は、今後考えられないレベルだ。栗林公園での故岩崎さん愛蔵の盆栽と金沢翔子さんの書のコラボレーションも話題になった。

 ―成果はあったか。

 産地見学も盛況で、鬼無・国分寺に大勢の愛好家を迎えた。「盆栽の里高松」を世界に知らしめた効果は大きい。地元の人の温かさも伝わったのでは。

 ―反省材料は。

 イベントが多過ぎるとの意見も寄せられた。デモンストレーションと金沢さんの席上揮毫が同じ時間になるなど全てのイベントが見られない課題もあった。しかし、多彩なイベントで愛好家以外も楽しめる大会だった。

木村正彦さん(右)らによる世界一流の技が披露されたデモンストレーション
木村正彦さん(右)らによる世界一流の技が披露されたデモンストレーション

 ―大役を終えた感想は。

 無事終わったのが何よりうれしい。県、高松市、各企業、地元の人やボランティアの皆さんらの協力があっての成功。地場産業の盆栽を支えてくれる力を感じた。通訳など有能な人材が県内に大勢いることにも驚き、頭が下がる思いだった。

小西幸彦大会会長兼実行委員長
小西幸彦大会会長兼実行委員長

 ―今後の教訓は。

 大勢の人が来場してたくさんの盆栽が売れ、潜在需要があることも分かった。一方で売れる商品開発や後継者の育成など、課題も浮き彫りになった。日本の盆栽の質の高さを世界に理解してもらえたのは大きい。盆栽人気の高い海外への進出など、将来に希望が持てる画期的な大会となった。