ASPAC盛況 名園と銘樹、松の競演
アジア太平洋盆栽水石高松大会(ASPAC)が18日から開催されている。日本を代表する盆栽展示や作家のデモンストレーションが、世界最大規模の大会らしいレベルで展開されている。栗林公園でも、愛媛県新居浜市にある高砂庵盆栽庭園所蔵の盆栽や水石を展示、天下の名園との競演が話題になっている。
総理大臣賞の迫力
歴代藩主が愛した掬月亭の亭内には、「高砂」の銘がある五葉松と2点の水石を展示。今年5月に亡くなった世界盆栽友好連盟名誉会長の岩崎大蔵さん愛蔵の「高砂」は大観展で内閣総理大臣賞に輝いた樹で、樹高90センチ、鉢は行山(ぎょうざん)長方。迫力ある舎利幹と五葉松特有の柔らかな気品が融合した模様木で、鑑賞者の目をくぎ付けにしている。
展示を担当した出上文雄ASPAC高松広報部会長は「松で知られる栗林公園に岩崎さんの銘樹を展示できた意義は大きい。世界で活躍した岩崎さんだけに、逝去を悔やむ外国人も多かった。お元気なら足を運んでくれたはずなのに、ここで姿が見られないのが残念です」と話している。
開会式では追悼も
岩崎さんは、世界盆栽友好連盟副会長の苗美夫人とともに、ASPAC高松大会実現の功労者となった。開会式では、岩崎さんの追悼セレモニーも行い、同連盟のフ・ユン・ファ会長が故人の功績をたたえ、苗美夫人に記念品を贈った。
故岩崎さんの盆栽収集歴は60年以上にも及び、約2万坪の高砂庵に20万鉢もの盆栽を集めていた。五葉松は他の追随を許さず、石鎚五葉松から新品種の岩崎八ツ房、通称「岩やつ」を開発、今回も庭園に展示している。掬月亭の庭には有名な根上がり五葉松があり、盆栽の五葉松との対比も興味深い。
これらの樹は21日午後9時まで展示され、ライトアップに浮かぶ幻想的な姿も鑑賞できる。
(ライター・羽野茂雄)