雅風展で金的 村下さん(高松)所有 四国初
1月6日から9日まで、京都市勧業館で開催された第36回雅風展で、香川県高松市西山崎町の村下忠さん(73)が、床飾り出展の最優秀作品に贈られる名誉会長賞を受賞した。小品盆栽の最高峰とされる雅風展で、同賞は四国で初の快挙である。
珠玉の3点飾り
村下さんが出展したのは、主木のシンパクを右に、ネジカンザクロを左に、添え草にフキタンポポとコガネシダの寄せ植えを配した3点飾り。シンパクは断がいで強風に耐える厳しさ、ネジカンザクロは幹肌のねじれに時代感が出ている。いずれも半世紀ほどの樹齢と推定されている。
3年ほど前、この木を香川県高松市国分寺町の春松園で見た村下さんはたちまちぞっこんとなり、同園の平松国昭、浩二父子に預けて培養を続けてきた。
「幹模様は変わらないが、3年持ち込んで、枝張りが一段とよくなった。雲泥の差です。手を入れた直後のいびつさが消え、自然の良さがにじみだしている」と話している。
夢のような話
これまで10回ほど雅風展に出展している村下さん。優秀作品に選ばれたことはあるが、最優秀は初めて。「平松さん親子の教えで、小品盆栽を志してかれこれ15年。いつかはこの賞がもらえたらと願ってはいましたが、まさか実現するとは。夢のような話です。また何かに挑戦する勇気がわいてきました」と喜んでいる。
村下さんは、香川国風小品盆栽会の10代目会長を務めている。同会の初代会長は、高松松平家12代当主の頼寿(よりなが)伯爵。伯爵は、全国の国風盆栽会(日本盆栽協会の前身)の初代会長も務め、小品盆栽を愛したことでも知られる。村下さんは「お殿様のおひざ元で、今一度小品盆栽の隆盛を図りたい。今秋、高松で開催されるアジア太平洋盆栽水石大会が何かのきっかけになれば…」と期待している。
(ライター・羽野茂雄)