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盆栽主義

鉢の中の小宇宙・盆栽の魅力に迫る地元四国新聞の連載記事

サツキの魅力 花が咲けば苦労吹っ飛ぶ

2011年1月26日

 香川県高松市庵治町の太田冨美男さん(75)はサツキの愛好家だ。昨年11月に京都で開催された大観展では太田さん所有の「日光」が組織委員会賞に選ばれた。サツキの花にほれ込んで四十数年、毎日の世話にいそしむ太田さんにサツキの魅力を聞いた。

年中楽しめる

 太田さんの家には、100鉢以上のサツキが並ぶ。日光、晃山、紅梅、若恵比寿など種類も多い。挿し芽で増やしたり購入するなどして、長く培養している。樹齢60~70年の木もある。

庭にはサツキの名木が並ぶ
庭にはサツキの名木が並ぶ

 サツキの花期は短い。しかも、咲いて間もなく花がらを摘む愛好家にとって、花をめでる時期は1週間から10日が限度とも言われている。

 それでも、太田さんは「サツキは1年中楽しめるから素晴らしい。一度はまったら抜けられません。夏場は水やりで出かけるのもままならないが、5月の花を見たら、そんな苦労も吹っ飛びます。花のおかげで元気に暮らせています」と目を細めていた。

大観展で賞を受賞した「日光」を手入れする太田さん
大観展で賞を受賞した「日光」を手入れする太田さん=高松市庵治町

水が命

 花を楽しんだ後は、6月に芽摘みを行うと、7~8月にはつぼみがつく。冬は大半の葉が落ちるが、2月末頃から新しい葉が出て、木の形が整ってくる。

 太田さんは「冬の姿は寂しいが、つぼみは元気に育っています。早春の衣替えが終わると、花が咲きます。木の形は春と秋が最も美しい」と教えてくれた。

 世話の中で命とも言えるのは水やり。春秋は1日1回、冬は2~3日に1回でよいが、夏は朝の10時、昼の3時、夕方の3回与えている。肥料は2月末、花後の6月、10月の3回施すが、少なめがコツ。

満開時の「煌陽」
満開時の「煌陽」

 今年も、玉藻公園、グリーンフェスタ国分寺、そして大観展などへの出展に意欲を燃やす太田さん。願いは、若い人たちにもっとサツキの美しさに親しんでもらうことだ。

(ライター・羽野茂雄)

キーワード:サツキ 大観展 日光