猛暑期のしのぎ方 工夫で過酷さ乗り越える
猛暑期は人間にも大変だが、盆栽にはとりわけ過酷な時期である。香川県高松市国分寺町、JA国分寺盆栽部会長の山地宏美さん(58)に、この時期の世話の難しさを聞いた。
まず水と日除け
山地さんは、自園の山松園で、北海道産のイチイを管理している。幹の大半が空洞化した推定樹齢200年を超える古木だ。シャリやジンの芸も見事。「江戸時代の生まれには間違いないでしょう」と笑っている。
イチイのように寒冷地原産の木を暖かい地方で育てたり、逆に暖地性の木を寒冷地で育てるのは難しい。寒冷地産は、特に暑さに弱く、夏の世話が大変だという。1日2度の水やりが欠かせず、寒冷紗などで猛暑を避けることも必要だ。
盆栽には朝夕の露が大切だが、猛暑の時期は露が少ない。それだけに入念な水やりが欠かせない。夏場にたっぷり水を与えるためには、植え替えをきちんと行い、鉢の水はけをよくしておく必要もある。
作家も悩む季節
JA香川県国分寺盆栽センターには、寒冷紗で保護する棚場がある。自動散水の設備もあり、酷暑期でも快適な培養環境が整う。各園でも、工夫を凝らした猛暑しのぎを行っている。
四国も北海道も真夏の日中は30度を超える日があるが、朝夕の寒暖差による冷気が、寒冷地産の木の根を強くして成長を促す。
「水、土だけでなく、人間がコントロールできない大気の影響も大きい。四国内でも、高い山のある愛媛県や徳島県は、香川県とは環境が異なる」と山地さんは話している。
真夏は木も生き延びるだけで精いっぱい。時代の乗った名木を枯らせてしまったという話も聞く。老木は、いったん活力を落とすと復活は難しい。水やり、日除けに悩む季節を迎えている。
(ライター・羽野茂雄)