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盆栽主義

鉢の中の小宇宙・盆栽の魅力に迫る地元四国新聞の連載記事

水石 水辺の風情を醸し出す

2010年6月19日

 盆栽と車の両輪のように位置づけられる水石。盆栽が森や林の姿を盆上に表現するのと同様、水石は水辺の風情を凝縮する。岩や石を組み合わせて山河の趣を表現する日本古来の「枯れ山水」も、水石の延長線上にある。

名石の五大条件

 名石とたたえられる石には、形、質、色の3大要素に加え、肌合い、時代の5つの条件が求められる。

 形は、何かの自然景観を思わせるものがよく、質は硬さやち密さがあり水をかけるとシットリするものがよい。色は、黒、茶、紫などが好まれている。

 さらに、穴や凹凸、ひだ、筋など自然の肌合いがよく、古い持ち込みや長い間の養石から生まれる、いわゆる『時代がついた』ものが尊ばれる。

 水石は時代が必要なことはもちろんで、川から採ったばかりの新石[あらいし]では、場違いな雰囲気になってしまうことがある。養石をする場合は盆栽と同様、庭の棚で天日に当て、時々水をかけるのがよい。

サヌカイトで創作

高松市西春日町の園藤隆雄さんは、香川県における水石の第一人者で、水石の同好会「旭水会」の会長を務めている。

代表的な水石の滝石をめでる園藤さん
代表的な水石の滝石をめでる園藤さん=高松市西春日町

 水石は川から採れる石が主流となる。全国では静岡県の富士川、天竜川、新潟県の魚野川をはじめ、四国でも愛媛の加茂川、高知の四万十川など、数ある川から名石が産出されている。残念ながら、大きい川がない香川県には、水石に向くような石は出ない。

 そこで園藤さんは、香川特産のサヌカイトを使えないかと考え、試行錯誤の末、今年夏にサヌカイトを使った水石作品を完成させた。まさに、香川から生まれたざん新な水石だ。

讃岐特産のサヌカイトを使った水石の作品
讃岐特産のサヌカイトを使った水石の作品

 園藤さんは「香川の石を使った楽しみ方の提案。これから、名産地の石が醸す雰囲気をどう出すかが課題」と話している。

(ライター・羽野茂雄)

キーワード:水石