サツキ(中)百花繚乱 丹精した名花ずらり
今年も5月後半には県内各地でサツキ展が行われた。どの会場にも愛好家が丹精した名花が並び、鑑賞している人のため息を誘った。22日から24日まで高松市国分寺町の国分寺図書館で開かれた「国分寺さつき展」でも、枝変わり、花変わり、葉変わりの珍しい品種が登場した。
秋まで咲く花
高松市国分寺町の橋本民男さん(63)が出展した「長寿宝(ちょうじゅほう)」は、花が春の紅色から緑色、さらに黄緑色に変化して秋の9月ごろまで楽しめる。めしべ、おしべの長い小輪の花と、細い葉が特徴だ。
橋本さんは2004年に国分寺町さつき会が会員に配布した苗を針金で曲を付け、文人風に育てている。根元から子苗が育ち、風情を増してきた。「耐寒性が強い上に枝の勢いもよく、文人木の魅力を保つため太らせないようにするのが大変です」と苦労を語る。
枝変わりや石付も
鮮やかなピンクの花が美しい「光琳(こうりん)」の枝変わりが「白琳(はくりん)」。同町の大西芳文さん(61)が15年ほどにわたって育ててきた「白琳」は、根張りが素晴らしく、幹の立ち上がりに力強さが感じられる。
花の先がとがった剣弁が特徴で、一本の木に薄いピンク色と白色の花が咲く。しかも、咲き分けは枝によって微妙に違ってくるため、「人間の力が及ばない部分がたまらない魅力です」と大西さんは話している。
三豊市豊中町の石川義一さん(71)は、根上がりで石を抱いた「八咫(やた)の鏡」を出展した。花の斑入りが特徴で、赤、薄いピンク、底白、ぼかし、無地と見事に咲き分けさせている。
まず根上がりを作り、その後に石を抱かせて30年ほど育てて、全体の風格を磨いてきた。「一番の苦労は大きさを維持すること。あまり大きくなるとね」。石川さんは、国分寺のさつき展は過去23回すべてに出展している。
(ライター・羽野茂雄)