新しい観光形態 産地見学に注目集まる
香川の観光は、瀬戸内海、小豆島、金刀比羅宮、栗林公園、讃岐うどんなどに代表されてきた。ところが、何回も訪れる人々には、新しい観光形態が望まれている。その一つの選択肢として、香川特産の盆栽見学が注目され始めている。
生きたアートに共感
1967(昭和42)年に高松市で開催された「松方コレクション」を機に、香川の風土や味が気に入った千足伸行成城大学教授は、以来70回ほども香川に足を運んでいる。西洋美術の専門家で、8月末には美術館の顧問や職員、中国美術史研究家、雑誌編集者など仲間たち6人で来県した。
地元で迎えた高松市西山崎町の久利峰代さんは、香川に精通した一行に、新しい楽しみ方として盆栽見学を提案。千足教授らを同市鬼無町の名園神高松寿園に案内した。同行した千足教授の教え子で小学館の錦澤元子デスクは盆栽にも造詣が深く、「繊細な盆栽は生きたアートです。マユミなど実ものが好き。ここは園全体に手入れが行き届いていて気持ちがいい」と感想を述べていた。
園側も歓迎
全国的にも知られる神高松寿園は、遠来の顧客や見学者も多い。この日は3代目の神高藤義さんと4代目の神高恵二さんがそろって園内を案内した。
一行は、園内をくまなく見学。大隈重信候遺愛の松など名品を展示する「瑞宝殿」では、樹齢200年を超える松盆栽の数々に目を見張っていた。恵二さんは作業中の五葉松の古葉取りも披露、分かりやすく世話の仕方を説明した。
神高さん父子は「業者や顧客の来園は多いが、こうした観光がてらの訪問も歓迎です。広く盆栽の魅力を知ってもらえるチャンスですから。特に盆栽の盛んな関東からのお客さまには、香川の盆栽の素材のよさや良心的な値段を分かってもらえたらうれしい」と話している。
(ライター・羽野茂雄)