正月の寄せ植え 松竹梅に「赤」を添える
正月を愛でる盆栽は松竹梅の寄せ植えが定番になっている。常緑の松の緑と赤い葉や実が、玄関や床の間でたちまち日本の正月を演出してくれる。香川県高松市国分寺町、はるちゃん盆栽の岡田利幸、治美夫妻に正月に飾る寄せ植えの基本を教えてもらった。
小さい庭を造る感覚
松竹梅は日本を代表するめでたい木である。中でも松は樹格が高く、空気を清め邪気を払う木として尊重されている。梅は紅梅や白梅、時には矮小(わいしょう)ボケで四季咲きのチョウジュバイが使われる。竹は普通のものでもよいが、斑(ふ)入りがめでたく感じられる。
この基本の3種に彩を添えるのは、ナンテンやヤブコウジの赤い葉や実だ。ナンテンは「難を転じる」とも言われる。赤や黒の岩を配した間に葉ボタンやフクジュソウを植え、コケをつけて白砂を敷き、鶴亀や橋の置物を飾れば完成だ。毎年正月の寄せ植えを造っている治美さんは「寄せ植えは構図を決めて、小さいお庭を造る感覚で仕上げるとうまくいきますよ」と話している。
世界に一つだけ
利幸さんのサラリーマン時代の同僚で多度津町の三好正博さん(60)は、利幸さんに師事して盆栽を育てている。今回は夫妻の指導でオリジナルの寄せ植え造りに挑戦した。
メーンの松は三好さんの希望で国分寺特産の錦松を選んだ。そして竹、梅、ナンテンなどを、楕円(だえん)の薄い鉢に植えていった。
夫妻は、「大きい松と梅の位置が大切。あまり素材を入れ過ぎるとスッキリしないので要注意。バランスを考えて植えつけるとよい」とアドバイスした。
寄せ植えは、正月が終わっても水やりさえ怠らなければ枯れない。葉ボタンや福寿草などを入れ替えると、翌年も使えるという耳よりな話も聞いた。
(ライター・羽野茂雄)