高砂庵の魅力 高松開催実現の決め手に
愛媛県新居浜市に「高砂庵盆栽庭園」がある。面積約2万坪、所蔵数は五葉松を中心に黒松、赤松など20万鉢とも言われる。世界盆栽友好連盟名誉会長の岩崎大蔵さん(93)と副会長を務める苗美夫人自慢の名園である。夫妻は国際的に活躍し、アジア太平洋盆栽水石大会(ASPAC)高松開催実現の立役者ともなった。
実生繁殖や新種開発も
岩崎さんの収集歴は60年にも及ぶ。特に五葉松は他の追随を許さない。実生の繁殖も手がけて半世紀、将来の資源枯渇に備えている。石鎚五葉松の原木から新品種を開発、葉性が素晴らしい「岩崎八ツ房」通称「いわやつ」もやがて盆栽界に認められるだろう。
政界の実力者だった故河野一郎氏遺愛の茶室を盆栽庭園に移築、披露を兼ねた個人盆栽展を11月11日に開催した。全国から夫妻を慕う盆栽作家、愛好家など約400人が集まり、銘木の数々を堪能した。
園内には、盆栽界最高の栄誉でもある国風賞を受けた五葉松「天壇」「武蔵」、黒松「聖代」をはじめ、大観展総理大臣賞の赤松「高麗」などがある。しかし、他の鉢のレベルや数にも参加者は舌を巻いていた。
ASPACの会場にも
岩崎夫妻は、先日台湾で開かれた第10回ASPACに足を運んだ。世界盆栽友好連盟での貢献も長く、40カ国以上を歴訪、世界各地に多くの盆栽仲間がいる。台湾でも再会を喜び合う姿が見られた。ASPAC開催地決定には夫妻の存在と、高砂庵を会場にというアピールが大きな力となった。高砂庵のコレクションは世界でも知られている。
岩崎さんは「ASPACが高松で開催されることは非常に喜ばしい。世界の人々も、盆栽のメッカ日本の大会に高い期待を持っている。2年後に私どもの高砂庵盆栽庭園で世界の皆様に会えることを楽しみにしている」と、話している。
(ライター・羽野茂雄)