五葉松(5)販路の開拓 ネット駆使して世界へ
香川県高松市鬼無町、小西松楽園三代目の小西幸彦さん(66)は、全国の盆栽業者で作る日本盆栽協同組合鬼無支部の支部長を務めている。一時は錦松で名をはせたが、最近は五葉松を中心に輸出やネット販売を手掛けるなど、新しい販路開拓に奔走している。
欧州へ輸出
前回紹介した高松市国分寺町の山地宏美さん(55)が北米を中心に輸出しているのに対し、小西さんはフランス、スイス、ドイツなどヨーロッパに輸出している。
小西さんが輸出を始めたのは20年くらい前。業者に勧められて、鬼無で何人もの栽培農家が始めたが、1人減り、2人減りして現在も続けているのは4人だけ。手続きの煩わしさなどが原因だが、その方法は年々厳しくなっているという。
小西さんは、高松市の姉妹都市、フランスのトゥール市にも2回出向いて盆栽のデモンストレーションを行った。ヨーロッパは庭園ブームで、盆栽は大変な人気だ。針金かけや剪定(せんてい)など細かい技を目の前で披露すると、驚嘆の声が上がる。「ボンサイ」の言葉も本当に通じるという。日本と違う点は、盆栽というより庭木に近い樹高2メートル前後のものが好まれるそうだ。
「47クラブ」に参加
小西さんは、全国の地方紙47社が各地の名産や特産を扱うサイト「47クラブ」に参加し、インターネットによる販売にもチャレンジしている。盆栽部門では香川県内でただ一人だ。
2002年にホームページを立ち上げ、販路開拓を模索してきた小西さん。「47クラブ」への参加に迷いはなかった。「楽をして売れるとは思わないが、これも現代に合った売り方。じっくり取り組みたい」と話している。
小西さんには力強い味方がいる。数年前に会社員を辞め四代目を継いだ康雄さん(41)だ。康雄さんは松だけでなく、広大な畑でブルーベリー、オリーブなどを栽培し、得意のインターネットを駆使した新ビジネスに意欲を燃やしている。
(ライター・羽野茂雄)