産地・鬼無を歩く 200年の伝統を守りたい
合併前の旧高松市西部にあたる鬼無町。「鬼がない」の語呂合わせから桃太郎伝説が残り、桃太郎神社もある。キャッチフレーズは「盆栽と植木の里」。文字通り盆栽、植木、造園業者が点在する町並みを歩いてみた。
盆栽通り
JR鬼無駅から高松西高校、五色台方面へ続く坂道の周辺は盆栽、植木業者が軒を連ね、盆栽通りと呼ばれている。
道すがら、業者の庭をのぞくと、黒松、五葉松などの鉢が整然と並んでいる。日がな一日丹精する生産者の姿にもお目にかかる。水やりや剪定(せんてい)など、日々の手入れの大切さがうかがわれる。
盆栽や植木の畑は鬼無町全域で見られるが、中でも盆栽通り、鬼無小学校、高松西高校周辺の景観が美しい。
鬼無植木盆栽センター
高松西高校の隣に県鬼無植木盆栽センターがあり、ここで毎年10月下旬に最大のイベント「きなし盆栽植木まつり」が開かれる。
今年は10月19日から21日まで開催され、盆栽名品約20点の展示や松柏(しょうはく)、雑木の即売会が行われた。年間を通して毎月5日、15日、25日に市場が開催されている。
農農事組合法人
鬼無地区では1974年度に農事組合法人を結成した。同法人は地域ぐるみで農地を守る集落営農的な組織で、農業者が3人以上集まれば組織できる。
結成当初は盆栽ブーム全盛で、盆栽、植木、造園業者など128人が加盟していたが、徐々に減り、現在は80人になっている。法人には義務的な作業もあり、高齢化などで、それが厳しくなると辞める人もいるようだ。
神高国広組合長は「最近は若い人や女性のファンも増え、明るい兆候が見えてきた。後継者が勤めに出るなど厳しい状況には違いないが、地域の先輩が築いてきた200年もの歴史がある。日本の伝統文化を守るために何とか頑張りたい」と話している。
(ライター・羽野茂雄)