小品の改作(上)黒松 雰囲気変わり樹格も向上
針金かけや彫刻、鉢替えなど、改作は盆栽作家たちの腕が光る技である。香川県高松市国分寺町、春松園の平松浩二さんに樹高が20センチ弱の小品盆栽の改作を見せてもらった。平松さんは、社団法人全日本小品盆栽協会で、四国でただ一人の理事を務めている。
4~5年に一度
改作はおおむね4~5年に一度行う。年数がたって大きくなったものを締めてサイズを維持し、伸びすぎた枝を整理して幹に満遍なく陽光が当たるようにするのが主なねらいだ。
改作したのは、樹齢約40年の実生の黒松。前作から時間がたって、枝や葉が育ち過ぎ、幹とのバランスが悪くなっていた。平松さんには、右側の幹に対して左側の葉の飾りの部分(枝)が大きくなり過ぎているのが気がかりだった。
平松さんは、徒長した枝を切り落とし、隠れた幹も見せるようにした。切った枝をこぶ切りハサミや彫刻刀を用いてジンにする技も見せてくれた。
鉢や角度も工夫
枯れ枝や込んだ枝を整理すると、針金もかけやすくなる。葉をすかすと芽の先まで針金をかけることができる。枝を切ったり広げたり、思い切りのよい作業が続く。剪定(せんてい)や針金かけで木の姿がどんどん変わっていく改作は、盆栽づくりのだいご味とも言えよう。
それが終わると、最後は鉢そのものや木の角度を変えることもある。木と鉢の相性を考える鉢合わせも重要な過程だ。今回は、鉢を長方からだ円に変え、柔らかなイメージを強調した。
平松さんは「鉢合わせも改作の一部です。木の雰囲気がずいぶん変わります。枝がはみだすくらい、ちょっと小さめの鉢を選ぶのがコツ。木が締まって見えます」と話している。
こうしてしばらく置くと、木が鉢に落ち着き、さらに樹格が向上する。
(ライター・羽野茂雄)