秋を迎える 手入れも忙しい活動期
記録的な猛暑となった今夏。9月に入っても勢いは衰えないが、盆栽界には秋の風情も漂い始めた。盆栽は秋の活動期に入り、施肥、消毒、古葉取り、雑木の植え替えや交配など、さまざまな手入れで忙しい時期を迎えている。香川県高松市国分寺町の清寿園、平松清さん(61)に秋を迎えるこの時期の手入れの仕方を聞いた。
施肥は慎重に
秋になると活動期を迎える盆栽は、肥やしを欲しがるようになる。盆栽はおおむね、4月から入梅までの生育期、9月から11月くらいまでの冬越しの準備をする期間に肥料を与えるのがよいそうだ。
固形の有機質肥料と液体の化成肥料があり、固形は置肥すると水に溶けゆっくり効果を発揮する。液肥は水やり代わりにもなり、効果は早いが持続力は弱いため、繰り返し与える。しかし、いずれも与え過ぎには注意が必要だという。
「ちょっとずつ、こまめに与えるのがコツ。やり過ぎると効き過ぎて木が傷むこともある」。平松さんは、茶のパックに油かすを入れて置肥している。水やりでも流れることはなく、効果が長続きするそうだ。
古葉取りや雑木の交配
芽切りしていない松は、9月になると古葉が出てくる。出てきたものから順次取っていく。手やピンセットで一本一本取り除く根気のいる作業だ。
ボケ、チョウジュバイ、ピラカンサ、ウメモドキなど雑木類は植え替えの適期。土が固まり、水はけが悪くなると植え替えの目安だ。秋の展示会に向けて植え替える人も多い。
8月から9月にかけては実物の交配の時期でもある。平松さんに、ビナンカズラの交配を見せてもらった。冷蔵庫で保管しておいた赤い雄花を、木についた雌花に交配させる。こうしておくと、秋には真っ赤な美しい実がなるという。
(ライター・羽野茂雄)