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盆栽入門

基礎知識や普段の手入れ、鑑賞のツボ…盆栽の「いろは」をプロが解説します。

技術編(3)鉢替え 根を傷めないよう注意

2010年1月15日

 松は畑から鉢に上げて初めて盆栽と呼ばれる。最初は素焼きの鉢などで培養し、ころあいを見て化粧鉢に植え替える。これが鉢替えで、いよいよ盆栽の商品価値が高まってくる。

寄せ植えも楽しい

 香川県高松市国分寺町、清寿園の平松清さん(59)は、毎年3月末から4月いっぱいまで鉢替え作業に追われている。

 若木は2~3年、古木は3~5年、小品の場合は1~2年ごとに行う。根が混んで用土が目詰まりするころが目安とされている。

 普通は1本の木を鉢替えするが、何本かの木を寄せ植えにすることもある。平松さんには寄せ植えの妙味を見せてもらった。前もって用意した数本の黒松。主木は決めているものの、周辺の木は臨機応変に選ぶ。やがて完成した寄せ植えに目を見張った。「自然の広がり感を出してみたい」と話していた通りの作品が出来上がっていた。

鉢替え前の黒松群
鉢替え前の黒松群
完成した寄せ植え
完成した寄せ植え=高松市国分寺町、清寿園

樹格も向上

 鉢替えは、根を切ったり引っ張ったりする木にとってストレスの多い作業で、根を傷めないよう細心の注意が必要だ。土も重要で、川砂と赤玉土をまぜた排水のよいものに植えると、根張りや枝葉もよくなる。

 さらに、植え付け後の水やりが大切だ。盆栽の世界では「水やり三年」の言葉があり、専門家は”木と会話しながら”水を与えるという。水が不足して大事な木を枯らしてしまう愛好家も多い。

 盆栽は、鉢で年数が経(た)つほど味わいを増す。半世紀もの木になると、鉢替えのたびに値打ちが上がるとされる。春に植え替え秋に整枝すると、ますます樹格が高まっていく。そのため将来性を見越した鉢を選ぶことも望まれる。現在、日本のものでは常滑焼(とこなめやき)が重宝され、中国の「平成渡(わたり)」も人気が高い。

 (ライター・羽野茂雄)

キーワード:国分寺 清寿園 鉢替え