「黒松」常滑隅入上帯正方鉢
樹齢:約100年 樹高:116センチ
黒松

優雅な姿から「鶴の舞」とも呼ばれる名品である。まさに脚の長い鶴が羽を広げたような気品をたたえる姿が、正方形の小ぶりな鉢に映えている。
枝数を抑えた文人風のつくりで、ひょうひょうとした風情の中にも、幹の自然の動きを強調した流れがすこぶるよい。芽摘み、葉すかしなど穏やかな管理を続け、いたずらに葉摘みはせず、長いままで仕立て上げている。ややねじれ気味の幹模様と、一の枝のところにある自然の膨らみが妙味を添えている。
樹齢はおよそ1世紀。古木の多い皇居の盆栽の中では、まだ若い部類に位置づけられ、樹勢も盛んだ。さらなる丹精で時代が乗っていくにつれ、ますます見ごたえのある黒松に育っていくことだろう。