盆栽主義 鉢の中の小宇宙・盆栽の魅力に迫る地元四国新聞の連載記事

残したい技(3)新種で錦松人気復活を

2012年4月17日

 香川県高松市国分寺町、専松園の橋本正博さん(56)は、錦松を専門に手掛ける作家として知られる。ともに故人の祖父専次さん、父正市さんに次ぐ3代目として、錦松を守っており、園には、祖父や父の代に接いだ年代物の樹も並んでいる。


父が戦後すぐに接ぎ木した錦松末広を手入れする橋本さん
父が戦後すぐに接ぎ木した錦松末広を手入れする橋本さん=香川県高松市国分寺町、専松園

伝統を守る

 盆栽発展の功労者末沢喜一翁が明治中期に接ぎ木に成功して以来、国分寺が発祥の地とされる錦松。黒松の一変種であるが、豪快な樹皮の割れ方と古木感が何よりの魅力である。

 盆栽が全盛期を迎えた昭和40年代、錦松人気も相当なものだった。特に国分寺では、畑一面が錦松に染まっていた。ところが、生産過剰などで価格が暴落、専門的な生産者は橋本さん一人になってしまった。

 橋本さんは「錦松は培養する年数の割に価格が安く人気は落ちているが、国分寺の誇る伝統の松。時代に合った品種や小型のものを開発して、人気を回復させたい」と意欲を見せる。

錦松の古木が並ぶ専松園
錦松の古木が並ぶ専松園

試験的に培養中

 橋本さんは錦松の新品種を育てている。いずれも専松園の樹から出た突然変異で、赤芽末広の八ツ房と、葉が金色の黄金。八ツ房は黒松の台木に接いで3年目で樹高10センチの小品ながら、早くも錦松特有の割れ肌が見える。八ツ房だけに芽も多い。黄金は、葉が黄色や金色で珍しさが人気を呼ぶかもしれない。

170-3.jpg
培養中の赤芽末広の八ツ房(左)と黄金

 現在のところ、試験的な増殖段階だが、苗木を鉢から畑に下ろすと樹も大きく育ち穂木が大量に採れる。それを接ぎ木すると大量生産でき、市場に出回らせることも可能だという。

 橋本さんは「もっと松が売れると作る人も増えてくる。小さいものなら値段も花と変わらないし、若い女性がプレゼントにも使えるよう、小品に仕立てたりカラフルな鉢に植えるなど、他にないものを育てたい」と張り切っている。
(ライター・羽野茂雄)
コメントする

名前

URL

コメント

トラックバック(0)

トラックバックURL