盆栽主義 鉢の中の小宇宙・盆栽の魅力に迫る地元四国新聞の連載記事

将来を担う(2)食事の席でも楽しんで

2012年3月 5日

 香川県高松市鬼無町、中西珍松園の中西陽一さん(44)は、暮らしに盆栽を取り入れることを広く提案している。運営部会長として活躍したアジア太平洋盆栽水石高松大会(ASPAC高松)でも、盆栽を生活の一部と考える外国人が多数来場した。


黒松寿の世話をする中西さん
黒松寿の世話をする中西さん=高松市鬼無町、中西珍松園

暮らしの中に

 展示の美しさで知られる珍松園では、玄関や居間に盆栽を置いて、訪れる人をもてなしている。盆栽の名品が並ぶアプローチを過ぎると玄関に一鉢の黒松。森のようなボリューム感がある多幹の黒松が客を優しく迎える。ASPAC高松に訪れた外国人にはこうした「わびさび」の感覚も好評だった。

玄関で客を迎える多幹の黒松
玄関で客を迎える多幹の黒松

 居間に上がると、懸崖のシンパクが癒やしの空間を演出している。さりげなく流れてくるジャズの曲も耳に心地よい。

 屋内の盆栽は床の間に飾るのが定番だが、洋風化で増えた床の間がない家庭では、リビングに置くのもいい。布を一枚敷くだけでも雰囲気は変わる。「思い思いに盆栽のある暮らしを楽しんでもらいたい」。中西さんの願いだ。

居間を彩る懸崖のシンパク
居間を彩る懸崖のシンパク

作家のあり方

 ASPAC高松は、多くの人々が盆栽の魅力を認識した実り多い大会だった。これまで盆栽に触れたことがない人が多かったのも意義深い。大会で玉藻公園の展示に感激し、盆栽を店に飾ることを思いついたバーのオーナーも現れた。

 中西さんは「ヨーロッパではパーティーを開いて盆栽を愛(め)でることがある。日本でも、おしゃれな感覚を持った若い人は多い。食事や酒の席で盆栽を楽しむ新しいライフスタイルを提案したい。そのためには、幅広い人に盆栽の身近な魅力を訴える必要がある。これからは、われわれも園で待つだけでなく、教室や街角のカフェなどへ出向いて盆栽の楽しみ方を発信していかなければならない」と将来のあり方を見据える。
(ライター・羽野茂雄)
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