盆栽主義 鉢の中の小宇宙・盆栽の魅力に迫る地元四国新聞の連載記事

培養の楽しみ 松田さん(高松)作 大観展賞に

2011年5月 9日

 盆栽作家にとって、全国的な展示会は自らの腕を試すいい機会でもある。高松市鬼無町、松田清松園の松田三男さん(39)は、精力的に各種展示会に挑戦している。昨年の大観展では、自ら培養して愛好家に譲った赤松が、大観展賞に輝いた。

光る素材の良さ

 この赤松は、舎利をかむ幹が立ち上がりからいったん下がって再び立ち上がる珍しい樹形。松田さんは「もともとは根上がりの樹(き)で、枝のすぐ下あたりから根だったのでは。幹となった根の芸が素晴らしく、自然の営みのすごさを感じる。根元の白い舎利の間に水吸いが残っているのが醍醐味(だいごみ)」とほれ込み、3年ほど培養した。舎利の古相から、樹齢は70年を超えるとみている。

松田さんが培養していたころの赤松
松田さんが培養していたころの赤松

 現在、この樹は京都市に住む愛好家田中慶治さんに懇願され、田中さんの手に渡っている。松田さんが大観展への出品を勧め、今回の快挙となった。

生きた証し

 松田さんは、この樹を昨年10月初旬に審査会が行われる作風展に出そうと考え、石付にする構想も練っていた。そのため早めに芽切りをして準備していたが、田中さんの所蔵するところとなったため、約2カ月後の大観展で勝負することに変更した。

 作風展は文字通り作家の仕事が評価されるが、大観展では樹はもちろん席飾りも重要視される。そこで鉢は和風の丸鉢から紫泥(しでい)長方の支那鉢に衣替えしたことで席飾りも映え、高い評価を得た。

大観展の席飾り
大観展の席飾り

 「舎利の間の黒い皮には水を吸い上げる機能は失われているが、水吸いが生きていた証しを記録したかった。大観展賞は記念貼にも席飾りとして写真が載り、田中さんも喜んでいる」と話している。

全国出展を目指し黒松寸梢の培養に励む松田三男さん
全国出展を目指し黒松寸梢の培養に励む松田三男さん=高松市鬼無町、松田清松園

 松田さんは、創作意欲に富む若手作家で、これまで作風展のサツキ部門トップ賞の「花いっぱい協会賞」を受けている。
(ライター・羽野茂雄)
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