盆栽入門 基礎知識や普段の手入れ、鑑賞のツボ… 盆栽の「いろは」をプロが解説します。

技術編(4)鉢上げ 適期外でも活着は良好

2010年1月19日

 松盆栽が商品化されるまでには、さまざまな過程がある。畑の松を鉢に植え替える鉢上げも重要なプロセスだ。接ぎ木、鉢替えと同様、樹木には大手術ともなる技術である。

省力化の成功

 香川県高松市鬼無町、旭松園4代目尾路悟さん(48)は、2000(平成12)年にサラリーマンを辞めて家業を継いだ。8年ほどのキャリアながら農学部卒の研究熱心さで、盆栽に取り組んでいる。

 黒松の鉢上げは、多くの栽培者が春の彼岸ころから始める。秋口に根を切り込むと、3月に鉢上げができる。ところが、培養する本数の多い旭松園では、適期にすべての根切りを終えるのは難しい。春先まで切り込みにかかるため、双葉の間から芽が出る4月中旬に鉢上げにかかる。多くの栽培者が鉢上げを終えるころ、尾路さんの鉢上げが始まる。

 盆栽は、「芽が動き出すと鉢上げはするな」と言われている。5年ほど前、適期を外しているのは承知で鉢上げしたところ、樹勢の強い黒松は95%ほど活着した。つまり、省力化で取り組んだ鉢上げの方法が成功したわけである。

 近年、鉢上げは小根を出しやすくするため、根を洗って畑の土を落とし新しい土を使うのが主流になっているが、尾路さんは伝統的な方法を踏襲して土をつけたまま鉢上げする。

鉢上げしたばかりの黒松
鉢上げしたばかりの黒松=高松市鬼無町、旭松園

黒松の新種も開発

 斬新な発想で盆栽づくりに励む尾路さんは黒松の新種を開発している。八つ房荒皮で、葉性が特に優れている。葉は黒松「寿」よりも太く緑が濃い。幹の太りも早く、6年生でもかなりの風格がある。枝からの芽吹きがよく、整姿しやすいのも特徴だ。

 名前は公募、園の一字を取って「旭龍」と名付けた。瀬戸内の島から出た親木が旭松園にあり、接ぎ木した小品を売り出している。

6年生の旭龍
6年生の旭龍

 (ライター・羽野茂雄)

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