盆栽入門 基礎知識や普段の手入れ、鑑賞のツボ… 盆栽の「いろは」をプロが解説します。

技術編(1)針金かけ 値打ち決める花形の技

2009年12月21日

 盆栽には多彩な技術がある。中でも花形は針金かけ。枝ぶりや全体の姿を整え、木の値打ちまで決定づける重要な技だ。香川県高松市鬼無町、出上吉洸園の出上文雄さん(58)は、針金かけの名手として知られている。

下から上が定石

 針金かけの前に、込み合った枝を切る剪定(せんてい)や伸び過ぎた枝を切る枝すかしを行い、作業をしやすくする。幹は下から上へ、太いところから細い部分に進めるのが定石だ。幹が終われば、一の枝、二の枝、三の枝と針金をかけるが、やはり基部から先端に進めていく。

 さらに、枝が重なり合わないように、横へ広げるようにすると樹形が整ってくる。針金は互いに交差しないよう並列に巻いておくと、効き目がいいし、木も傷まず外すときに便利だ。

針金かけ
針金かけ

見違えるほど変身

 松と並ぶ盆栽の人気樹種にシンパクがある。出上さんはシンパクの培養でも第一人者で、針金かけのだいご味をこの木で実演してくれた。

 シンパクは幹も枝も松類に比べてしなやかで、針金による樹形づくりの楽しみが大きい。「一日あれば、見違えるほど変わりますよ」と話した通り、挿し木から約70年の古木が見事に変身した。なるほど、これがプロの技だろう。

針金をかける前(左)と後のシンパク
針金をかける前(左)と後のシンパク

 「盆栽は素材の持ち味を最大限に生かして、自然の風趣を作者の感性と技術で盆上に表現しなければならない。しかも、人それぞれに価値観が違う。本当に奥が深く、いつまでも勉強中」。

 謙虚な出上さんは「大量生産に走らず、少なくても得意分野に全力を注ぐと仕事が楽しい。相手の顔が見える商売が理想」と言うだけに、アフターケアは万全。「うちから出た木が今どこにあるか、ほとんど分かりますよ」と話している。
 (ライター・羽野茂雄)

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